新緑が教えてくれる成長の時間
通学路や校庭の木々に、少し目を向けてみると、四月のはじめにはまだ頼りなく見えていた枝が、いつの間にか濃い緑に包まれていることに気づくと思います。
五月の新緑は、冬の間に地面の下で少しずつ根を伸ばし、春に向けて準備をしてきた木が見せてくれる姿です。外からは見えない時間があってこそ、今の鮮やかな緑があります。成長とは、いつもそういうものなのかもしれません。
入学や進級から一か月ほどが過ぎた今、毎日をどう感じているでしょうか。
新しいクラス、新しい人間関係、新しい勉強や部活動。四月の緊張が少し緩んで、「思ったより大変だな」「まだ慣れないな」と感じている人もいるかもしれません。うまくできている実感がなくて、不安になることもあるでしょう。
けれど、その感覚はごく自然なものです。慣れない環境に身を置くということは、それだけで多くのエネルギーを使います。結果が見えなくても、学校に通い、友人や先生の話を聞き、自ら考え、迷っている時間そのものが、あなたの中に積み重なっています。
目まぐるしく変わる日々に流されていると感じる日や、何もしていないように思える日でも、実は前に進んでいるのです。
友だちが楽しそうに見えたり、すでに目標を見つけているように見えたりすると、自分だけが取り残されているような気持ちになることがあるかもしれません。そんな時は、新緑を思い出してください。同じ時期でも、木によって葉の色や濃さは違います。日当たりや土の状態が違えば、育ち方も変わります。それは人も同じです。成長の速さや形に、正解はありません。
大切なのは、「もっと頑張らなければ」と自分を追い立てることではなく、今の自分をきちんと見つめることです。昨日より少し早く起きられたこと、苦手な授業を最後まで聞けたこと、誰かに挨拶できたこと。どんなに小さく見えても、それは確かな変化です。
五月の緑は、これから夏に向かってさらに深くなっていきます。
今はまだ途中でも、成長は続いています。目に見えないところで進んでいる変化を、どうか少しだけ信じてみてください。
新緑がそうであるように、あなたの成長も、確かに進んでいます。
